auから新格安料金プランの「povo」が発表されました。
一方、2020年10月にKDDIの中に統合されたUQモバイルも新料金システムを発表しました。
「povo」は、2,728円(税込料金)で20GBまでデーター量が使用できるサービスです。
povoのプランは、従来のMVNOが掲げてきた内容に非常に近くなっています。そうなると現在はauのサブブランドであるUQモバイルの立場は非常に小さくなってしまいます。
そこでUQモバイルが行ったのは、プランの内容を変更です。「スマホプラン」から「くりこしプラン」への変更です。「スマホプランS/R」の受付は2021年1月31日まで、2021年2月1日より「くりこしプラン」が開始されます。
では、UQモバイルの新プランは、従来のプランとどのように変わったのか。また、auが発表したpovo との違いは何処か。そして最大の疑問である「UQモバイルとpovo、どちらを選ぶのが良いのか?」を、解説していきます。
尚、表示しております料金等においては、今回からすべて税込料金を記載しております。
UQモバイル「くりこしプラン」の内容
UQモバイルの新プラン「くりこしプラン」の内容を紹介すると同時に、従来の「スマホプラン」との違いを比較してみましょう。
データー量 | 料金 | データー量 | 料金 | |||
スマホプランS | 3GB | ¥2,178 | ⇨ | くりこしプランS | 3GB | ¥1,628 |
スマホプランR | 10GB | ¥3,278 | ⇨ | くりこしプランM | 15GB | ¥2,728 |
スマホプランV | 20GB | ¥4,378 | ⇨ | くりこしプランL | 25GB | ¥3,828 |
大きな違いは、一目瞭然ですが月額料金が550円(税込料金)ずつすべてのプランで値下がりをしていることと、「くりこしプランS」を除く2つのプランではデーター量が5GBずつ増えていることです。
月額料金のみを上げても3GBで1,628円の料金は、非常に低料金になっています。
では、どれほど3GBのデーター量1,628円の料金は安いのでしょうか。3GBのデーター量の料金を他のMVNOと比較してみました。
UQモバイル | ¥1,628 |
Y!mobile | ¥2,178 |
マイネオ | ¥1,661 |
OCNモバイルone | ¥1,628 |
LINEモバイル | ¥1,628 |
BIGローブ | ¥1,760 |
IIJMio | ¥1,760 |
LIBNO | ¥1,738 |
OXNモバイルoneとLINEモバイルの2社がUQモバイルと同額の1,628円となり、往々のMVNOの中で最安値となっています。
通信速度制限
通信速度制限においては、「くりこしプランS」のみが3GBを超えた場合の最大速度が300Kbpsとなります。「くりこしプランM・L」においては、既定のデーター量を超えた場合は最大1Mbpsの速度に制限されます。
最大速度300Kbpsの場合は、検索などをする場合においても場合によれば時間がかかります。逆に最大速度1Mbpsの場合は、You Tubeの動画を480p(SD)の画質の視聴は可能です。状況によれば720p(HD)の動画視聴も可能です。
節約モードもついている
「くりこしプランS・M・L」のプランにも従来のプランと同じく、節約モードへの切り替えが設定できます。
制約モード切替とは、あなたの利用状況に合わせて手動で高速通信と低速通信に切り替えるシステムです。
通常は高速通信で動画視聴やLINEなどのSNSの利用、またはホームページ検索などに利用します。その結果月間契約のデーター量を消費します。
一方の低速通信に設定した場合は、先ほどの通信制限時の最高速度(「くりこしプランS」の場合は300Gbps、「くりこしプランM・L」の場合は1Mbpsの最高速度)に通信速度を設定し利用します。
この場合は、月間のデーター消費量が0GBとなります。
これらの設定は「UQmobile ポータブルアプリ」を利用します。
プラン変更は可能なのか
新規で「くりこしプラン」を契約される方は、新規お申込みかMNP(他社からの乗り換え)のいずれかになります。多くの方は、MNPを利用しての乗り換えでしょう。
では、現在UQモバイルを利用中の方はと言うと、現在契約中のプランから「くりこしプラン」への乗り換えは、または「くりこしプラン」内でのプラン変更は、My UQmobiileから簡単に乗り換え可能です。
一方「povo」の乗り換えは、現在のauユーザーでも現時点ではMNPを利用しないと乗り換えできません。
と、なると「くりこしプラン」の順応性は、非常に高くなります。
但し、UQモバイルのユーザーが、現時点のプラン(スマホプラン・データ高速+音声通話プラン・データ無制限+音声通話プラン・おしゃべりプラン・ぴったりプラン)から「くりこしプラン」に乗り換えた場合、再度過去のプランに戻ることはできません。auブランドpovoとUQモバイル「くりこしプラン」を比較
では、auが2021年1月に発表したブランド「povo」と、UQモバイルの「くりこしプラン」を比較してみましょう。
その前に、「povo」の特徴を簡単に解説します。
auブランド「povo」の特徴
「povo」の最大の特徴は、月額料金2,728円でデーター量を20GBまで利用可能なところです。
docomoの「ahamo」やSoftBankの「SoftBank On LINE」も同じ20GBまでのデーター量が利用できますが、料金は「povo」に比べて550円ほど高くなっています。
その代わりに「ahamo」や「SoftBank On LINE」は、5分間の無料通話サービスが提供されていますが、「povo」には提供されていません。
「povo」は、オプションサービスをトッピングして自分なりの好みに合わせたプランができます。5分間無料通話サービス(550円)もトッピングの一つです。
仮に5分間無料通話サービスをトッピングした場合、「ahamo」や「SoftBank On LINE」とおなじ月額料金になる仕組みになっています。
povoとくりこしプランの相違点
「povo」と「くりこしプラン」の両プランは同じKDDIのグループに所属している企業のプランですが、大きな違いが生じるところや小さな違いが生じている箇所があります。反対に同じ条件などをふまえた個所もあります。
その辺りを個々に見ていきましょう。
月額料金とデーター量について
au | UQモバイル | |||
povo | くりこしプランS | くりこしプランM | くりこしプランL | |
月間データー量 | 20GB | 3GB | 15GB | 25GB |
月額料金 | ¥2,728 | ¥1,628 | ¥2,728 | ¥3,828 |
まず月額料金が2,728円と言うところから、目を付けてみましょう。「povo」の場合は、20GBのデーター量の使用が可能です。一方「くりこしプラン」は、プランMとなり利用可能なデ月間データー量は15GBです。
料金が同一の状況から考えると、「povo」の方が5GBのデーター量分お得ですよね。
ところが「くりこしプラン」はその名のとおり、余ったデーター量を翌月に持ち越すことが可能です。単純に考えると毎月5GB以上のデーター量を次月に繰越せば、「povo」よりもデーター量がお得になる月があるということです。
次に「20GBのデーター量では少し足りない」と、言う方はプランLがお薦めになります。厳密に計算すると、データー量が22GB以上消費する方が該当します。
「povo」も「くりこしプラン」も月間データー量を超えた場合の追加は、550円/GBです。「povo」と「くりこしプランL」の月額料金の差は1,100円です。データー量2GB分の追加で同じ料金になります。この場合は「くりこしプランL」が25GBまで利用可能なので、軍配は「プランL」に挙ります。
結果、一見すれば月額料金を基本にして利用できるデーター量を考えると、「povo」の方がお得感があります。しかし「povo」の場合は、プラン内容が固定されているので変動がありません。
「くりこしプラン」は、プラン内容が繰り越しが可能であり、且つプランの幅がある(データー量15GBや25GBのプラン)ため「povo」よりもお得感を出すことは、データー量の利用状況によれば可能です。
「povo」と「くりこしプラン」どちらがお得かの判断は、あなたのデーター量の使い方によるところが大きいですね。
「くりこしプラン」には割引がある
「povo」には割引システムは一切ありません。
「くりこしプラン」には、期間限定ですが契約者の割引として「UQ学割」があります。
受付期間は、2020年11月20日(金)~2021年5月31日(月)と、なっています。
割引内容は以下の通りになります。
くりこしプランS | くりこしプランM | くりこしプランL | |
データー量 | 3GB | 15GB | 25GB |
料金 | 1,628円/月 | 2,728円/月 | 3,828円/月 |
割引期間 | 翌月から8か月間 | 翌月から12か月間 | 翌月から12か月間 |
割引額 | 638円/月 | 1,100円/月 | 1,100円/月 |
割引期間中月額料金 | 990円/月 | 1,628円/月 | 2,728円/月 |
申し込んだ翌月からプランでは8か月間、プランM・Lにおいては1年間の割引が適応されます。
割引期間中の月々の料金は使えるデーター量を考えると非常に安くなります。
但し、条件がいくつかあります。次の内容をすべてクリアしなければなりません。
学生ご本人
- ①新規契約、機種変更(SIMカードの変更を伴う機種持込みを含む)、くりこしプランへのプラン変更*1お申込みいずれか
- ②対象のくりこしプランへご加入、またはご加入いただいていること
- ③お申込み時点の契約者または利用者の年齢が5歳以上18歳以下の回線であること
*1:スマホプランからくりこしプランへのプラン変更、くりこしプラン間のプラン変更を除きます。
ご家族
- ①対象のくりこしプランへご加入、またはご加入いただいていること
- ➁受付期間内に初めて「UQ家族割」をお申込みいただくこと
- ➂UQ学割の条件を満たす学生回線を含むUQ家族割グループに所属しているご家族であること*2
*2:「UQ家族割」を適用開始した月にUQ学割の条件を満たす学生回線を含むUQ家族割グループに所属していない場合は対象外です。
学生本人の部分はご理解いただけると思うのですが、家族の条件の中に「家族割」と言う言葉があります。「くりこしプラン」には、家族割の割引は存在しません。これは、従来の家族割の事を言っているのではありません。
ここで言う「家族割」とは、「当学生さんは他のUQモバイルを契約利用している家族(父母)と家族ですよ」と、言う証明の事を指します。
従って家族割に該当する基準が、「同一姓・同一住所の家族を対象とします。相違がある場合は、家族であることを証明する書類(「健康保険証」「住民票(続柄記載があるもの/事実婚は「未届」記載)」「戸籍謄本(続柄記載があるもの)」)の提出が必要となります。」と、なっています。
なかなか「UQ学割」の手続きは、多少手間が掛かるかもしれません。
「UQ学割」のその他の注意事項については、以下をクリック・タップしてご覧ください。
「povo」の手続きはWebのみ、「くりこしプラン」は店頭手続きもO.K.
「povo」の手続きは、すべてオンラインでの実施になります。従来通りにauショップに出向いても、「povo」に関する手続きは行ってもらえません。
一方、UQモバイルの「くりこしプラン」は、店頭手続きも可能です。特に先述した「UQ学割」においては、「UQ学割」を申し込む場合「ご契約者様が未成年の場合、親権者同伴で来店の場合のみお申込みいただけます。」と、なっています。
このようにUQモバイル「くりこしプラン」の場合は、従来のように店頭利用も可能なため安心して利用可能です。
「povo」には今後トッピングメニューが増える予定
「povo」のトッピングメニューとは、あなたが使いたいと思うサービスをメニューの中から選択し、あなただけの「povo」を利用するといったものです。基本的に「povo」は、単体メニューです。
2021年1月現在のトッピングメニューは、「5分通話以内かけ放題、550円/月」、「通話かけ放題、1,650円/月」、「データー使い放題24時間、220円/24時間」、「データー追加1GB、550円/1GB」と、言ったトッピングメニューが用意されています。今後このメニューは増えていくそうです。
ちなみに、「データー使い放題24時間、220円/24時間」は、オンラインで申し込んだ時点から24時間データー量が使いたい放題になります。この場合「povo」で契約している20GBのデーター量の消費には加算されません。
UQモバイル「くりこしプラン」においては、このようなトッピングメニューはありません。従って、「データー使い放題24時間、220円/24時間」のようなサービスもありません。
「くりこしプラン」の場合は、オプションとして「最大60分/月の国内通話が定額、550円/月」、「国内通話10分かけ放題、770円/月」、「国内通話かけ放題(24時間いつでも)、1,870円/月」
の3つになります。
UQモバイル「くりこしプラン」そお薦めする人はこんな人
「povo」よりもUQモバイルの新プラン「くりこしプラン」を利用するにお薦めする人は、こんな人です。
- 家庭内にWiFi設備がある方(テレワークなどのワーキングスタイルの場合も含む)
- 月間データー使用量が3GB未満の方
- 月間データー使用量が15GB未満の方
- 月間データー使用量が20GB以上25GB未満の方
- 5分以内の通話ではなく、10分以内の通話割引が欲しい方、あるいはスマホの利用が通話中心で通話時間が長い方
- オンライン手続きよりも実店舗の利用の方が良い方
一つひとつ見ていきます。
家庭内にWiFi設備のある方
家庭内にWiFi設備のある方のデーター量の消費は、本当に少量です。ご時世がご時世であるため、外出も控えなければならない状態なので、在宅のままスマホのデーター消費する状況がほとんどです。(テレワークの状況も踏まえます。)
また、自宅だけでなく職場でもWiFiが利用できるのであればなおさらです。
そのような状態であれば、スマホの利用に高データー量の契約は必要ありません。
また固定回線のWiFi利用であれば、スマホのデーター回線の利用速度よりも格段に高速通信が可能です。そうなると、ますますスマホのデーター通信を使う機会は減ってきます。
無理に20GBなどの高データー通信プランを契約し無駄遣いをするよりも、使用状況に合わせたプランを選択することをお勧めします。
月間使用データー量が3GB・15GB未満の方
月間データー使用量が3GB未満か15GB未満の方は、「povo」を利用するよりも「くりこしプラン」の選択をお勧めします。
月間のデーター消費量が3GB未満の場合はお分かりいただけるでしょうが、「くりこしプラン」の3GBのデータープランの月額料金は1,628円です。
3GB未満のデーター量しか消費しないのに、わざわざ1,100円も上乗せして使わないデーター量の契約をする必要はありません。
15GB未満のデーター使用の場合は、「povo」と同額の月額料金としても15GBまでの未使用のデーター量が翌月に繰り越されます。
「今月は10GBしかデーター量を使わなかった」と、なった場合、翌月への繰り越し分は5GBものデーター量が繰り越されます。そのため翌月のデーター量は合計20GBとなります。
翌月に20GBを利用するかと言えば、恐らく20GB近くのデーター量を消費する方はあまりいらっしゃらないでしょう。しかし「povo」のように使わなかったデーター量をリセットしてしまうよりは、少しでも有効利用の手段が残っています。
月間データー使用量が20GB以上25GB未満の方
こちらも残ったデーター量の繰り越しのお話になります。
「povo」の場合、データー量は20GBより増えることはありません。しかし「くりこしプラン」の場合は、2,728円のプランで20GB以上のデーター量を利用することも可能です。
こちらも月間使用データー量が10GB未満の方が、いきなり翌月に20GB以上のデーター量を消費するような状況はほとんどないかもしれません。しかし、「povo」のように20GBより増えないというより、多少でも繰越しで余裕が少しでもあった方が良いですね。
因みに「くりこしプランL」の場合は、1,100円上乗せになりますが25GB以上のデーター量を使うこともできます。
10分以内の通話割引が欲しい・通話がメインである方
「povo」のサービスは、月額料金2,728円の中に「5分間の無料通話」は提供さていません。「povo」の無料通話メニューは、5分間無料通話と通話かけ放題の2つがトッピングとして提供されています。(ahamoやSoftBank On LINEは、月額料金3,278円の中に、5分間無料通話サービス提供しています。)
UQモバイルの「くりこしプラン」の各プランにも、無料通話サービスは含まれていません。
「povo」と「くりこしプラン」の無料通話サービスの中でお薦めするメニューは、「くりこしプラン」の「10分かけ放題」のオプションです。
5分以内の通話だとスグに「5分」が経過してしまいます。「10分」でも通話中だとスグに経過してしまいます。2~3分ほどで終了する通話も多いでしょうが、少し「少々お待ちください」と、言われると「5分」と言う時間が気になり焦ってしまうこともあります。
落ち着いた通話を考えると、「povo」の無料通話550円/月と「くりこしプラン」の10分かけ放題の770円/月を比較すると、わずか220円/月の差であれば「10分かけ放題」オプションがお薦めです。
このように多少通話も行う場合は、「くりこしプラン」をお薦めします。
オンラインだけの手続きよりも実店舗の利用もしたい方
簡単なお申込み手続きなどは、オンラインの方が良いでしょう。昨今は、オンラインでは24時間ほとんどの事が受付可能になっています。
もちろん、お問い合わせにおいても24時間受付O.K.です。
しかし、オンラインでお問い合わせを送信しても、返事はOn Time では返ってきません。
やはり問い合わせが発生した時は、訪ねた場合スグに返事が欲しいものです。
そういった意味では、「手続きからお問い合わせまですべてオンライン上」と言うよりは、「必要とあれば、実店舗にて手続きや相談ができる」と、言う方が何かと便利ですよね。
「povo」と「くりこしプラン」のどちらを選ぶか まとめ
ここまで解説してきました中で「povo」と「くりこしプラン」のどちらがお薦めなのかは、あなたはもうお判りですね。
UQモバイルの「くりこしプラン」の方が、「povo」よりもお薦めポイントが多くあります。従って、どちらかを選択するとすれば、UQモバイル「くりこしプラン」です。
決して「povo」が悪いというのではなく、「くりこしプラン」の方が利便性が多いということです。
現在UQモバイルは、auブランドの一員となっています。以前のようなMVNOではありません。そのためMVNOの最大のマイナスポイントである「混雑時間(特に12:00台)の通信速度の低下」と、言う問題は全くありません。
通常のキャリアと同じような通信速度で24時間利用できます。
そういった意味ではauもUQモバイルも甲乙つけがたい通信会社です。
あなたの使い方に合う通信会社を自分で選択する時代です。そのためのお手伝いとして参考にしてくだされば幸いです。