最近、通信会社のキャッチフレーズなどで耳や目にする「サブ回線」と、言う言葉があります。例えば「○○はサブ回線にもお奨め!」など表示がされています。
そこで今回は、「一体サブ回線とはどの様なものなのでしょうか」、「どのようにして利用すればよいのでしょうか」、「仮にサブ回線を使うとすればお奨めの通信網はどこか」と、いうことをお話して参ります。
サブ回線を使う理由と使い方
サブ回線とは、副回線のことです。主回線に対しての副回線です。従って主回線のことを通常メイン回線とし、従来はメイン回線のみの利用をしてきました。
サブ回線の利用が促される背景
ガラケー時代から端末のあり方は、端末1機種につき一つの電話番号を登録するのが通常のあり方でした。端末がスマホに入れ替わった今日でも、まだまだ多くの方がご自分の端末に登録している登録電話番号は一つです。
ところで昨今、2019年12月にSoftBankの大規模通信障害、そして2021年10月のdocomoにおける大規模通信障害が発生しました。
特にdocomoの大規模通信障害は、約1万8000人のdocomo利用者が利用不可になり、また復旧までに約12時間ほどを有する事態となりました。
この間docomoユーザーは、メールやSNSを利用した連絡通信手段は利用できません。当然検索等のインターネットを利用することもできませんし、通話を利用することも不可能でした。そのため多くのdocomoユーザーは、当時何が起きているのか情報を収集することさえも不可能でした。またスマホを利用したオンライン決算の利用も不可能になります。
私たちの生活に溶け込んでいる通信、もっと身近に考えるとスマホの通信利用は、ライフラインの一部です。
規模の大小にかかわらずスマホが繋がらないという通信障害は、何時発生するかは予測ができません。そのライフラインを守るためにも昨今、サブ回線の利用を促進する動きがあります。
サブ回線の利用が促される理由
サブ回線を利用する最も大きな理由は、メインで利用している回線に通信障害が生じた場合に、メインの代替えで通信を利用するための手段です。
2021年に発生したdocomoの大規模通信障害時に、サブ回線があれば特に障害を被ることはなかったでしょう。例えば、docomo回線をメイン回線として利用していても、楽天モバイルをサブ回線として契約していると、docomo回線が通信障害で利用できなくても楽天モバイルの回線で通信を行うことができます。
要するに2回線の契約をし、どちらかの回線が利用不可となった場合相互を補えるという形を作ることです。。
これが通信のライフラインを守るために私たちができる方法です。
最近のスマホはサブ回線の利用に適している
一方、2つの電話番号を持ち歩くというと、スマホの2台持ちが想像される方もいらっしゃるかもしれません
しかし最近のiPhone やAndroid 端末では、デュアルSIM対応のスマホが販売されています。デュアルSIMスマホは、一台の端末で複数の電話番号(以下、SIMとする)を利用できる端末です。
複数のSIMを一台の端末で利用するには、SIMカードを2枚端末に挿入する方法や、e-SIMと言われる機能を利用した利用方法があります。iPhone においては、iPhone Xs 以降の端末ではデュアルSIMに対応しています。またe-SIMにも対応しています。
但しデュアルSIM端末においては、デュアルSIMの内容に種類があります。そちらの種類の内容を知っておくことは重要です。
参考までに、以下のページの冒頭でデュアルSIMスマホの種類を紹介していますので、よろしければご覧下さい。
povo2.0とMVNOと楽天の組み合せて最強のプランを作ってみた
サブ回線を使うと、2回線分の料金を払う必要がある?
ここまでサブ回線の必要性を、お話してきました。
さて、ここで疑問が生じる方も多いではないでしょうか。
それは「いつ起こるかもわからない通信障害のために、また新たに新しい回線を契約しなければならない。そしてサブ回線の月々の通信料金を払っていかなく必要がある。単純にスマホの月額料金が2倍になる。そんな無駄なことをしてまでサブ回線を使う必要があるのか。」と、言ったところが実際のところでしょう。
確かに2回線分の月額料金を支払っていくのは、いくらスマホ料金が大幅に値下がりした昨今でも無駄な料金を支払うことになりかねません。
そこでサブ回線として利用するには、非常に安く利用できる通信プランと組み合わせを紹介します。
サブ回線の利用にお奨めの通信プラン紹介
最もサブ回線の利用に適しているプランとして3社のプランを紹介します。auから提供されている「povo2.0」、楽天モバイルの「Rakuten UNLIMIT Ⅵ 」、IIJmiの「ギガプランのe-SIMプラン」です。
必要な時に必要な分だけ購入できる便利な仕組み povo2.0
povo2.0は、月額料金制ではありません。
トッピングを購入しなければ月額料金は0円で利用できます。っと言っても「0円だから全く利用できない」と、いうことではありません。通話においては22円/30秒で利用でき、データー通信も128Mbpsの速度で利用できます。
但しいつまでも0円で利用できるという事でもありません。180日間以内にトッピングの購入か、660円以上の利用が無ければ、利用停止になります。
ここがデメリットとなり、定期的にトッピング等の購入が必要な場合が生じます。
povo2.0でデーター通信を行う場合、以下のようなデーター量を随時購入する必要があります。これらのデーター量と料金は、先ほどお話した月単位のものではなく1回の購入に対するものです。
利用有効期間内であれば、月をまたいでも利用できます。また利用有効期間内に購入したデーター量をすべて消費してしまうと、また新たにデーター量を購入する必要があります。
購入データー量 | 1GB | 3GB | 20GB | 60GB | 150GB | 使い放題 |
料金 | 390円/回 | 990円/回 | 2,700円/回 | 6,490円/回 | 12,980円/回 | 330円/回 |
利用有効期間 | 7日間 | 30日間 | 30日間 | 90日間 | 180日間 | 24時間 |
そのほかは、かけ放題等のトッピングや、DAZN使い放題パック(760円/7日間)やsmash.のトッピング(220円/24時間)などがあります。
サブ回線として利用するのであれば、180日以内にトッピングを購入することを前提にすればsmash.の購入がお奨めです。1年に2~3回ほど購入することで、利用停止を避けることができます。
あとはサブ回線として利用する時に、必要なデーター量を購入することで一時的なpovo2.0 が使えます。
1GB以下のデーター量の利用は0円、通話も0円の楽天モバイル
楽天モバイルも、使い方によれば0円にできるシステムがあります。まずは楽天モバイルの料金設定から参りましょう。
楽天モバイルの場合、設定された範囲内で使った分だけのデーター量を支払うシステムです。
- 0GB~1GBまでが0円
- 1GB~3GBまでが1,078円
- 3GB~20GBまでが2,178円
- 20GB以上が3,278円
と、いう設定になっています。当月にデーター量の利用が0~1GBまでであれば、月額料金は0円になります。(2022年7月1日より0GB~3GBの利用は1,078円になります。)
そして通話においても、サブ回線の目的で利用しても月々の通料金を0円にすることができます。これはRakuten Link というアプリを通話に使うことで、通話料金を0円にすることができます。SMSの送信もこのアプリを使うと0円になります。
但し海外への通話や、一部の指定された電話番号先には有料になります。
尚、楽天モバイルもpovo2.0 と同じように180日間の利用がない場合、利用停止になります。povo2.0との違いは、povo2.0はトッピングの購入など金銭を支払うことが利用停止解除の条件でした。楽天モバイルにおいては、金銭の支払いも当然ですが回線の利用だけでも利用停止解除の条件になります。
例えば、Rakuten Link を利用した通話の利用、あるいは1GBまでのデーター通信の利用です。これらの利用により楽天モバイルを利用することで、料金の支払いは関係なく利用停止解除になります。
楽天モバイルは、料金が掛かりずらいことがメリットですが、楽天モバイルのデメリットというと、通信エリアの問題があります。楽天モバイルの自社回線は、人口カバー率96%とを超えたとのことですが、まだまだ他の3キャリアと比較すると自社回線の範囲は狭いです。例えば、地下や建物の中、地方では通信の繋がりが悪いと、言うことです。
これは、総務省から割り当てられた楽天モバイルの使っている電波の問題です。現在の楽天モバイルの利用してる電波は、スピードは速いです。しかし、速い代わりに障害物を回り込んだり、通り抜けたりすることはできません(地下や建物の中ではつながりにくい)。基地局と基地局の間が狭く、広域の利用には向いていないため地方では繋がりが悪くなります。
このようにメリットとデメリットのことを考えると、現段階では楽天モバイルの場合はメイン回線として利用するよりも、サブ回線として利用する方がメリットが大きいと言えます。
IIJmio のデーター通信プランでサブ回線を安く使う
IIJmio の場合は、先述のpovo2.0や楽天モバイルとは違い、MVNO(格安SIM)です。そして通信業界の中でも、いち早くe-SIMの取り扱いを始めました。
IIJmioが提供するe-SIMプランは、音声通話はできません。データー通信専用です。回線は、docomo回線を利用しています。またこのe-SIMプランにおいては、5G回線は対応していません。
今回のサブ回線としての利用を紹介するe-SIMプランは、特に料金が安く設定されています。ここがお奨めのポイントです。
2GB | 4GB | 8GB | 15GB | 20GB | |
データー通信専用SIM | 740円 | 900円 | 1,400円 | 1,730円 | 1,950円 |
e-SIM | 440円 | 660円 | 1,100円 | 1,430円 | 1,650円 |
上記の表のとおり、e-SIMプランの料金は破格値と言えるでしょう。
しかしIIJmioのe-SIMプランの場合どちらかというと、前半でお話した通信障害時に備える利用方法よりも、各データー量の設定の利用をメイン回線として利用する方がお得になります。
例えばデーター通信はIIJmioを利用する、povo2.0 は通話回線の利用とデーター通信をサブ回線として利用すると言ったような利用方法です。この場合povo2.0に「5分以内通話かけ放題」(月額550円)を付けても、20GBのデーター量プランの場合、2,200円で済みます。
いつ起こるか分からない通信障害にわざわざ毎月少額でも出費をすることに無駄を感じる方には、IIJmioのe-SIMプランをサブ回線として準備しておくのは向いていないでしょう。
しかし、「サブ回線も必要だがスマホの月額料金をできるだけ安くしたい」という方には、IIJmioのe-SIMプランをメイン回線とし、先ほどお話したような利用方法を求める方には正直お奨めです。
サブ回線の利用に当たっての注意点
サブ回線として利用する場合、最も重要なことは2つあります。
- メイン回線とサブ回線は別々の通信会社にする
- サブ回線にはなるべくお金を掛けないようにする(月額料金等)
と、言うことです。
同じ通信会社でメインとサブを作ると、通信障害が発生した時に全滅してしまいます。これではわざわざサブ回線を引いた意味がありません。
またサブ回線を利用する場合、サブ回線の料金で月々のスマホ代が極端に増えない事が重要です。例えばサブ回線を利用すると月々の料金が2倍になるようだと、そのプランの利用は止めた方が良いです。
サブ回線は必要か?お奨めのサブ回線はどこ? まとめ
サブ回線を持つことは、サブ回線の料金が上乗せされ一見無駄遣いのようです。
しかしいざ通信障害が発生した時、非常に困るのは目に見えています。そのための保険としてサブ回線を持つことは、スマホの通信をライフラインとして利用している私たちには必要なのではないでしょうか。
そんな中で私自身は、povo2.0を通話メイン回線、楽天モバイルをサブ回線、MVNOをデーター通信のメイン回線(docomo回線)として利用しています。データー通信の場合は、povo2.0と楽天モバイルがサブ回線としています。
今回はサブ回線の重要性と、サブ回線として利用するのに料金を格安に抑えられる通信会社を紹介しました。